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[コラム]自治体標準化が後押しする、共同BPOの可能性

2025.09.04

導入

これまで自治体の基幹業務――住民記録、税務、福祉など――は、各自治体が独自にシステムを構築・運用してきました。その結果、ベンダー依存や高額な改修費といった課題が各地で顕在化しています。こうした現状を打開するため、デジタル庁は基幹業務システムの統一・標準化を推進しています。

日本の行政サービスは多くを地方公共団体が担っており、そのシステムは長年、自治体ごとに個別に開発されてきました。この構造が、制度改正対応の高コスト化、ガバメントクラウドへの移行障害、優れた取組の水平展開の困難さといった共通課題を生んでいます。これらを根本から解決する手段として、デジタル庁は2022年8月から共通仕様による業務設計とクラウド環境への移行を柱とする標準化方針を掲げてはいるものの、未だ実装には至っていません。

解決施策を行う際の課題

標準化の過程では、職員の慣れやローカルルールの存在など、現場の運用を変えることへの不安が伴います。また、既存システムからの移行には時間と調整コストがかかり、自治体ごとの事情に配慮した段階的な導入が求められています。

実施後の効果

標準化が実現すれば、業務の統一化と職員の操作性向上が実現されます。また、ガバメントクラウドへのスムーズな移行、保守コストの抑制、成功事例の迅速展開が可能となります。さらに副産物として、特定ベンダーに依存せず複数ベンダーから選定できる環境が整い、民間企業間での価格や品質の競争が促進されることで市場の活性化やプロダクトの成長を見込むことができます。

項目標準化前標準化後
業務画面・操作自治体ごとに仕様・UIが異なり、互いのことを理解しずらい全国共通の画面で操作が統一され、自治体同士の理解がスムーズに
システム改修改修が自治体ごとに必要でコスト・工数が大きい標準仕様による一括改修が可能、対応スピードも向上
クラウド活用フォーマットや仕様の違いで導入が難航共同使用によりクラウド環境への円滑な移行が実クラウド環境への円滑な移行が実現

行政の未来を創る

「標準化」は単なる制度対応ではなく、現場の負担軽減や柔軟な働き方、住民サービスの向上につながる改革です。ベンダー任せから脱却し、自治体自らが業務を理解し、自治体間で共通言語を持つことで、地域を越えて共創できる新たな行政の姿が見えてきます。
こうした標準化の流れは、共同BPO(シェアードサービス)との連携にも大きな可能性をもたらします。自治体間で業務プロセスやシステムが共通化されることで、複数自治体が同一の業務オペレーションを一体的に担う仕組みが実現しやすくなります。例えば、住民記録や税務などの定型業務を共通仕様に基づいてアウトソーシングすれば、自治体ごとの個別対応が不要となり、スケーラブルかつ高品質な行政サービスの提供が可能になります。これは、人材不足やコスト抑制といった自治体共通の課題に対する有効な解となるだけでなく、地域間連携や持続可能な行政運営の新たなモデルとしても期待されています。

参考文献:デジタル庁. “地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化”. デジタル庁. 2025-06-27. https://www.digital.go.jp/policies/local_governments, (参照2025-07-30).

本件に関するお問合せ先

株式会社エスプールグローカル 営業企画部
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